永田小耳症形成外科クリニックと愉快な仲間たち

愉快な仲間たちの秘密の会話

今入院中のインドの患者さん。

師長さん曰く、
「なんだか彼らの周りだけ、時間がゆっくり流れているようですね」と・・・

「朝食事が届くまで、何の文句も言わず、じっと待ってるんですよ。
で、(お母さんの手作り朝食)届いたら、みなさんで朝ご飯なんです」

なるほど、なあ。

そういえば先日紅茶を御馳走になった時、
「ホリデイはあるのか」と何度も聞かれたけど、
私が病棟を駈けずりまわってる様子が、いかにもアクセクとして見えたのか。

入れてもらったジンジャーフレイバーのミルクティーは、
たいそう美味だった。
こんな紅茶を時間をかけてゆっくり味わえば、
私もゆっくりした時間を過ごせそうだ。

その後お母さん手作りの本場インドカレーを御馳走になった。
イヤ、これはすごいとみんなで試食会。
大して辛くないのだが、あとからピリッと来る感じで、
麻酔のK先生は、
「これにココナツミルクか生クリームをかけたらもっと美味しいかも」
との事だった。

私はちょっと?マーク。

アズキがゆはダイスキ。
カレーライスもダイスキ。
食べてみると、カレー味のアズキがゆだった。

永田小耳症形成外科クリニックの中の異文化コミュニケーション。



先日の台風は、すごかった。
事務さんは小学生のお子さんが早めに下校と言う事で、
午前中で仕事じまい。

日勤の師長さんは電車が止まる前に、
「師長さん、帰って~~!早く帰って~!」と叫んで帰ってもらい、
だんだん強まる風雨に胸ときめかせながら、
医局で仕事をしていたのだが、なんだか蒸し暑い。

窓の隙間からは雨が吹き込んできて、
玄関も雨でびしょびしょで、
警備会社の設備もエラーがでて、ALSOKの職員さんが雨の中、来てくれた。

外を見ると雨がななめに走っており、
それと同じ角度で、玄関のゴールドクレストが斜めになっている。

夜になっても風雨の勢いは止まらず、
案の定電車も止まってしまい、
今夜はお泊りと相成った。

地震の時以来だ。

お母さんがたも、これではあすなろに帰れない。

それにしても蒸し暑いなあ。
エアコンの設定温度をさげた。

ありあわせで夕食を済ませ、たまった事務を片付けていたのだが、
風雨の中来てくれた夜勤さんが、
「Mさんのお父さんが、3階で大きな音がしたと言っていましたよ」
と言っている。

「ここは2階建てで、3階はないよ」と言ったのだが、もしや!

「屋上のエアコンの室外機が倒れたのではないか!」

実は1年半前の大風のあと、エアコンの室外機が倒れたのに気がつかず、
そのまま使い続けてだめにしたことがある。

院長は蒸し暑いのにも気がつかず、寝ていたのだが、
それを聞いてあせっている。

気がつかないのなら、エアコンいらないのでは?

翌日ダイキンさんが来て、やっぱり倒れていたそうだ。

玄関のゴールドクレストも、60度傾いたまま通行の邪魔になっている。

まったく、すさまじい台風一過であった。




しばらく前の外来日だが、診察室で小耳症の患者さんが泣き出した事がある。
これから手術と言う事で、まだ小学校の低学年。


院長は声がでかいので、本人はその気じゃなくても、
怒っている、
と思われることがある。
そうじゃなくても、子供にとっては病院は怖い所なんだけど。
手術と聞けば、怖いのはあたりまえだよね。

でも、子供だけじゃなくて、
親御さんたちにも手術を怖がる方達がいる。

子供に耳を作ってあげたいと思うからこそ、
わざわざ永田小耳症形成外科クリニックへおいでになったのだろうが、
本当にこの子に手術を受けさせるのが、
いいのだろうか、悪いのだろうか、
悩み続けるのが、
それも親心と言うものだろう。

院長は、そんな時、
「2階を見ておいで!
 入院中の子供達が楽しそうにしているから!
 泣いてる子供なんか一人もおらん!」
とさけぶ。

2階を御案内していくと、
キッズルームで子供達が遊んでいる。
「この子は手術後4日目の子。
 この子は昨日2回目の手術をした子。」と、
聞いてお母さんはびっくりされる。
みんな元気そうだからだ。
ただし、2回目の手術をした子は、確かに今朝、泣いていた。

「ねえ、手術痛かった?」聞くと
「耳は痛く無かったよ。胸は痛いよ」と
誰かがあっけらかんと答えてる。

向こうから女の子がやってきたので、
「これから手術の子だよ」と紹介すると、
その女の子は見学者の女の子の肩に手を置いて、

「きっと手術をしてよかったと思うよ」と
言った。

こんな一言を聞くと、
自分が無力でも、
「小耳症にかかわってよかった」と思えてくる。

この一言は、見学のお母さんの背中を、大きく押してくれたようで、
「よく考えて、また来ます」と明るい顔で帰って行かれた。


インドから手術を受けに来た美少女とその家族。
永田小耳症形成外科クリニックに一大旋風を巻き起こしている。

なんてったって、言葉が通じない。
ナースはみんなへっぴり腰。

ところが当のインド人家族、
「あんたたち、英語が喋れて当然でしょ」と思っているわけではないだろうが、
平気で英語で話しかけてこられる。
驚いた事に、弟の8さいの少年も、英語だ。

うむ、インドって、インド語を話すんじゃないんだっけ?
ぺらぺら話しかけられても、理解不能で、
悩んでいると、
しかたないわねえ・・・と言う風情で、紙に英文をさらさら書いてくれる。
それを読んで、なんとか意味を理解して、
・・・いるのだろうか?

入院中の患者さんで、女子大生が1名おられ、
これがまた英語が得意と言う事で、
みんなすっかり頼りきりだ。

御本人はもうすぐ退院だと心待ちにしておられるが、
できることならもうしばらくいて欲しい。

気がつけば、
インドの少年は入院中の子供達と、すっかり溶け込んで遊んでいる。

手術当日はインドの両親とも不安げで、
私が側を通り過ぎるたび、
まだか?とか
だいじょうぶか?とか聞いて来られ(たぶんそうだと思ったが)
ああ、小耳症の患者さんの親御さんの心配振りは、
まったく万国共通だなと、
そこだけは妙に納得したしだいだ。

今日は術後2日目で、
もう痛くない、元気だと言う事で、
御両親も、御本人も笑顔であった。

私の頭の中は、英語の単語がくるくる回ってる。
今日は院長の61回目の誕生日。
とある事情で、今回はスルーの予定だったのだ。

が、ある親切なお方がおられ、明日はお誕生日なのでと、
土曜日にアイスクリームケーキを届けてくださった。

それもチョコレート味。

かなり詳しく研究されている。

ケーキ・アイスクリーム・チョコレート!

トリプルパンチ!

ろうそくが、いっぱい入っていた。
だって61才。

入院中の子供達が見たら、びっくりするに違いない。
だって、子供達の6倍だよ。

大きいケーキだったので、4つに切って、
院長がなんと一切れ食べた。
もう一切れ、とっときますか?と聞いたら、
とっとくと言うので、
え、結局一人で半分たべんのかと驚いたが、
まあ、あんたの誕生日だし、と冷凍庫に入れた。

残りはみんなで美味しく食べた。

なんと言うこともない誕生日の、ありがたいひとときだった。